しかし、最低必要な部分については課税しないという趣旨から、生命保険金については、法定相続人の数につき、1人当たり500万円が非課税となる制度があります。
例えば、お父さんが死亡し、相続人として妻と子供が2人いた場合に、生命保険金5000万円を受け取った時は、500万円×3人=1500万円が非課税となりますので、5000-1500=3500万円に対して相続税が課税されることとなります。
では、1500万円以上の保険金を掛けて、相続税が課税されてしまうなら、死亡保険金が1500万円の保険に加入すれば良いでしょうか?
答えは「いいえ」です!
相続財産のうち現金預金の割合は少ないです
平成21年度の国税庁の資料によると、相続税を申告した人の財産の平均金額は約2億円。そしてその内訳は、土地が約50%、現金預金は20%、有価証券12.5%となっています。つまり、平均でみると2億円の課税価格に対して4000万円の現金をもっていることになります。そして2億円の課税価格に対する相続税は上記の例で考えると、相続人全員で950万円、もし配偶者がいない場合には相続人全員で2500万円となります。
4000万円の現金に対して、2500万円の相続税を現金で支払ったら、残りは1500万円になってしまいます。これを3人の相続人で分けたら・・・。
全体で2億円という財産に対して、税金を支払った後には、手持ち現金がいかに少なくなってしまうかお分かり頂けると思います。
土地や家屋と違い、現金は自由に分割することができる財産です。生命保険は遺産分割の場面においては非常に優秀かつ有能な財産であります。
この様な場合に、生命保険金があれば、保険金受取人から代償分割という方法で、他の相続人に現金を渡すことも可能です。
生命保険も様々な種類がありますが、上記のように活用するのであれば、終身保険が有効な保険商品となります。もっとも、生命保険は健康でなければ加入することはできませんので、健康なうちに遺産分割のプランニングをして加入することも大切なポイントです。
松本浩康