○税制改正で有利になりました
平成25年の税制改正により、相続税の課税対象者が約4%から6%程になるといわれています。しかし、この数値は全国平均。3大都市圏はもっと割合が高くなります。特に大きな改正は基礎控除の引き下げによる相続税の増税です。反面、小規模宅地の拡大による減税も織り込まれています。この「小規模宅地の評価減」とは、相続人の必要最低限の宅地や事業用の土地については、相続税評価を最大80%減とするものです。東京のど真ん中に先祖代々から住んでいる人が、相続が起きた時に、その土地を売らないと相続税が払えない!!といった事態を考えれば、その創設趣旨がわかると思います。
そこで、今回は減税となる小規模宅地の特例についての改正について書きたいと思います。
○適用対象面積の拡大
(1)居住用宅地の特例の限度面積の拡大
現行の240㎡から330㎡に拡大されます。
(2)居住用宅地と事業用宅地の完全併用が認められます。
居住用宅地と事業用宅地の両方について小規模宅地の特例の適用を受ける場合、従来は一定の計算により両方で400㎡までしか適用が認められませんでしたが、これからは、居住用宅地の限度面積330㎡と事業用宅地の限度面積400㎡を合わせた730㎡まで特例が認められます。これは、店舗を持って事業を営んでいる方にとっては、非常に大きな改正です!
○居住用宅地の特例の適用要件の緩和
(1)老人ホームに入所していて空き家となった自宅敷地に係る小規模宅地の特例の扱いがかわりました。これまでは、老人ホームに入所したことは、一般的には、それに伴い被相続人の生活の拠点も移転したものと考えられるため、被相続人の居住の用に供されなくなった宅地については、小規模宅地の適用は無かったのですが、その要件が緩和されました。
(2)二世帯住宅の敷地についての取扱いが変わりました。
最近は二世帯住宅といっても、プライバシーの観点から居住スペースが完全に分離され、お互いに行き来ができない構造の二世帯住宅が増えています。従来はこういった構造である場合、「被相続人と同居していた」とは認められませんでした。しかし今回の改正でこのような二世帯住宅でも居住用の小規模宅地の特例が認められるようになりました。
松本 浩康