相続税の基礎となるのは、「相続財産の価額」であり、その財産の価額は、「取得の時における時価」と定めています。この取得の時とは、相続税の場合は、被相続人の亡くなった日をいいます。
☆では時価とは
相続税の基本通達に「時価の意義」として、次のように書かれています。
「財産の価額は、時価によるものとし、時価とは、課税時期において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、この通達の定めによって評価した価額による。」
ここでは、時価について2つのことが書いてあります。
ひとつは「時価とは、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいう。」⇒そう、お店で売っている商品が高いと思ったら買わないし、ちょうど良いと納得した値段で買います。その値段を時価という。その通りです。
ふたつめ「その価額は、この通達の定めによって評価した価額による」⇒じぇじぇじぇ!
その価額をこの通達で決めちゃうの!!経済学を勉強した人なら、「そりゃマーケットが決めることでしょ!」と突っ込みたくなりますね。でも、通達で決めているんです。
では、具体的な例としてみなさんの住んでる家について見てみましょう。
自分が住んでいる家の価額は、その固定資産税評価額に1倍を掛けた金額によって評価します。だから、家の時価は固定資産評価額と同じなのです。でも実際に固定資産評価額で売買されますか?普通はもっと高い値段で売買されます。だからこの場合には、世間で売買されるよりも安い値段が相続税の時価となるのです。
つまり、このトリックが最初に述べた節税対策の一つ。「評価の低い財産に変える」ということです。例えば、現金1000万円で新築住宅を購入した瞬間に、評価はおよそ700万円となり、たちまち300万円もの評価が下がってしまいます!!時価の計算方法を少しでも知っていると得してしまうのです。
松本 浩康