★今から30年以上前に契約した「土地の収用契約書」を保管していて、余分な相続税を払わずに済んだ話
●一般的には土地の売却の契約書等各種書類は、約10年程度で破棄処分しています。
土地を取得した場合の契約書は、所有権の証明やそれを売却したときの取得価格の控除のために、権利書と一緒に永久保管しているのが普通です。
今回は元々書類を処分せず、保管するのが性格的に合っていた事。そして「駅前の道路は昔うちの土地だった」と子孫に伝承しようと色々な「家の歴史」を保管してありました。
●相続税の税務調査がありました。
被相続人の財産を調べるのは当然ですが、その配偶者や家族の預金も税務署は調べます。
3年以内の贈与は相続財産に合算される事と、贈与税を申告していないが、名義変更をして財産の移転をしたものは無いかと調べます。(家族名義預金の説明はVol.038参照)
特に配偶者である妻の財産が多い場合は、その妻名義の財産が本来は被相続人の財産であり、単なる名義を妻にしていただけではないかと調べます。
妻に過去に収入が無い場合には、それを相続財産として課税するというのが税務署の考え方です。
●今回の税務調査では妻の預金や株券が5000万円以上あり、贈与税の申告が無いため税務調査官はこれが無職の妻の預金等とは認められない、相続税の対象として下さいとの主張です。
税務調査官は、年老いた妻に30年~40年前の夫の仕事の話を聞き出し、妻の仕事や転勤などの話をしながら、妻がこんなに多くの預金等を持っているはずが無いという証拠固めをしてきました。
妻が仕事でこんなに稼げないと分かった時点で、「実は銀行で調べたらこんなに預金があるんですが、おかしいですよね」と質問を投げかけてきました。
●ここで妻の収入が有った事の証明が無いと、納税者は反論できず、相続税を払わざるを得なくなります。ところが今回は30年前の書類を残してあったのです。
30年前に愛知県に道路用地として収用された土地の契約書がキチンと保管されていたのです。
30年前の定期預金であってもその利息も大きな金額となり、投資信託もバブルの前でしっかりと増えていたのです。
それを見せたら税務調査官は「こんなに古い書類がよくありましたね、これだけ有れば今回は十分です」と言って調査は終わりました。
●家の歴史を残すことは、その家を守る事にもなると実感しました。
旧家ほど昔のものを保管してあり、家訓や家系図、ましてや今回のように財産の増減の経過を残す事は代々の子孫にしっかりとした家の歴史を残し、家を守る意識の向上に役立つと思いました。
ちなみにそのお宅の仏壇にお参りをしましたら、古いお位牌が五つもあり、仏壇もしっかりした歴史を感じるものでした。
●家は財産で守るので無く、家系の歴史を残そうとする心で守られるのですね。
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