○豊川市の普通のご家族の相続の話です。
夫婦、子供二人、祖父母の六人家族で家族も仲が良く、親子の会話も十分出来ているご家族での出来事です。
お婆ちゃんが亡くなり相続税の申告をしました。
相続税は少しは出ましたが、多いと言うほどではありませんでした。
相続税の税務調査は、相続財産があまり高額でない場合は、省略されることが多いのですが珍しく税務調査となりました。
○いつものように初めて依頼された場合には、申告漏れがないように十分検討をしているはずなの に、申告時に教えてくれなかった財産があるのかなと、納税者を少し疑ってしまったのです。
相続税の税務調査は一般企業と違って故人のプライバシーや、家の中なども見せて下さいという場合が多いので、事前に予行演習を行います。
予行演習をやりながらご家族に、一般的にはこのくらいの相続財産では税務調査は来ないのですが、事前に税務署が金融機関等を確認して明らかに問題があった場合に来るのですが・・・
我々に話してない財産や贈与は何かありますかと質問しました。
○故人の相続人の皆さんは顔を見合わせて、「全部会計事務所に提示し、隠したものは一切ないし、贈与で貰ったものも無いからおかしいね。我々の知らない財産が出てくれば儲けものだよね」等と話されていました。
○税務調査当日、故人の出生から青年期、結婚後、病気の具合から亡くなった原因やその時の病院などの状況などプライバシーの事も含めて詳細に質問されました。
また故人が使っていた鞄や机の引き出し、日記から手帳などに至るまでここまで見るかという位詳細に見ていきました。そして最後は家族全員の通帳から預金取引の状況まで確認しました。
何も問題はありませんでした。
そして最後に「他にはありませんか、贈与とかもないですか、銀行を確認させて戴いても良いですか」との質問で調査は完了しました。何で調査に来たか全く判りませんでした。
○1週間後に再度確認したい旨の連絡が入り、また納税者宅での調査です。
私はもう詮索しないで単刀直入に問題点を言って下さいと申し入れました。
すると税務署員は、「じつは家族名義・お孫さんの名義の預金で調査にお邪魔したのです。500万円のお孫さんの名義の預金がありますが、贈与で貰ったことはありますか?。」
「孫は小学生ですのでそんな事はないし、息子の私も聞いたことがありません」
「銀行に行って調べてきたのですが、お婆ちゃんの字で、満期のお知らせは手紙を出さないで下さいと定期預金の申込書に書いてあり、銀行は満期のお知らせをずっと出してなかったのです。」
「これはお婆ちゃんの相続財産の漏れとしますが、よろしいでしょうか?」
○ 家族一同安堵の顔と嬉しそうな顔で、「凄い500万円も知らないお金が出てきた、税務署さんのお陰です。ありがとう」とみんなで喜びました。勿論10%の追加の相続税と過少申告加算税は喜んで納税しました。
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