★損益計算書的(その期間の動きを記録)発想で寄与分を重視・記録しよう。
今迄どれ程相続財産形成に寄与したかは、相続時思い出せるものではない。
その時その時に記録することが、相続争いの大事な援軍なのです。(寄与分①)
◆寄与分とはどのようなものか
相続人中に、被相続人(亡くなった人)の財産の増加や維持に特別の働き(特別の寄与)をした者がある場合に、相続財産からその寄与分を控除したものを相続財産とみなして各相続人の相続分を計算し、寄与者にその控除分を取得させることによって共同相続人間の公平を図る制度です。
戦後の民法改正で家制度が廃止され、家督相続から均分相続に移行し、相続人は法定相続分として、平等に相続財産を取得できる権利を与えられたのですが、当然平等という名の不公平から生じる具体的な不均衡問題が徐々に表面化してきて、昭和55年の民法改正時に新設された規定であります。
特に農家では、農業後継者以外の者が相続の放棄等の方法により、一子相続に近い形態での遺産分割が一般的に行われていた。しかし、戦後時がたつにつれ、相続人そのものの権利意識の変化、地価高騰その他の諸事情と合わせて、農業後継者以外の相続人から法定相続分に従った均分相続の要求が強まってきた。法定相続分に従って、相続人に均等に遺産を分割すると、被相続人と共に農業に従事し、農地を継承する為に働いてきた相続人が、均分相続により実質的には、多大な損失を被る例が増えた。その結果農業経営そのものの基盤をも脅かすという深刻な事態にまで発展するものまでみられ、相続争いの裁判でも寄与分を法的に制定すべきだとの意見もあり、民法改正となったのです。勿論これらは農家のみならず、中小企業経営者や一般の商店などにも同じ状況と言えるのです。
◆一般的には評価されないが妻の働きも非常に大きいのです。
夫婦財産制になったが、農家や自営業のように夫婦の労働によって得られた財産でも夫婦共有でなく夫名義にされることが多く、さらに、いわゆる共働きであっても、妻の収入によって得た部分までも夫の名義の財産にするといったケースがしばしばあります。
このような場合に、夫が死亡し、生前妻の収入によって得た財産までもが、夫の遺産に含められて遺産分割が行われると、実質的衡平が損なわれることは言うまでもありません。
この様な場合には、遺産分割の際に、ぜひとも寄与分の算定が必要となるのであります。
でもこれも記録しておかなければ主張するときには、何十年もの前のことを思い出さないのです。
一緒に生活し働いている時には、そんな事書くなんておかしいと思うのが一般的ですが、何もしないのに法定相続割合を主張する人が増え、それに弁護士先生という応援が入るから問題の解決が人情中心ではなくなってしまうのです。
◆寄与分を主張できるのは、相続人だけです。
残念ながら内縁の妻や事実上の養子など法律上の地位以外は、どんなに貢献していたとしても、寄与分を主張することはできません。相続放棄した者、相続欠格者及び廃除された者も寄与分を主張する資格はありません。だから内縁関係等の場合には、自分の貢献に応じた財産をその都度給料かお手当?で貰い、自分の名義でへそくりにしておかないと、いざというときに思いも寄らず泣くことになってしまいます。
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