相続税の土地評価で、評価額を大きく下げるものとして小規模宅地の特例があります。相続で取得した土地が、亡くなった方の居住用に使用していた場合(80%減)や、事業用に使用していた場合(80%)また貸付事業に使用していた場合(50%)に、この特例が適用出来ます。
問
亡くなられた方はお母さん(要介護の認定を受けていました)で、亡くなる数年前に特別養護老人ホームに入居されてましたので、自宅は空き家になっていました。この場合自宅は、小規模宅地の特例が適用出来るのでしょうか。
答
相続で取得した方が、配偶者かいわゆる「家なし親族」(相続開始前3年以内に取得した本人又はその配偶者の所有する家屋に居住したことがない人)であれば、適用出来ます。
解説
平成25年の税制改正で平成26年1月1日以降は、それまで適用が認められていなかった老人ホームに入居した場合であっても自宅の敷地が適用されることになりました。ただし以下の3つの要件を満たした場合です。
1.被相続人が、相続の開始時点で「要介護」「要支援」の認定を受けていること
*「要介護」「要支援」の1.2.3等の程度は問われません
*老人ホームの入居の時点で「要介護等」の認定を受けていなくても、相続開始の時点で「要介護等」の認定を受けていれば適用出来ます
*注意することは、健康な人が老人ホームに入居していた場合は認められないと言うことです
2.入居する老人ホームが次に掲げる老人ホームに該当すること
・老人福祉法に規定する認知症高齢者グループホーム、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム又は有料老人ホーム
・介護保険法に規定する介護老人保険施設
・高齢者の居住の安定確保に関する法律に規定するサービス付き高齢者向け住宅
*一般的には、有料の老人ホームは該当しますが、まれに無許可で営業している場合は該当しません
3.最後に、老人ホームに入所した後、自宅を事業の用に使用したり、他人へ賃貸してい た場合は適用出来ません
この3つの要件を満たし、なおかつ他の小規模宅地の要件を満たした場合は、この特例が適用出来ます。
なお、小規模宅地の特例は効果が大きいだけに適用を間違えますと、その評価額も大きく変わり相続税にも大きく影響します。従って必ず税理士に相談しましょう。
松井 稔幸