私が税理士になったバブル崩壊前は、相続対策花盛りでありましたが、「争族」の話はほとんどありませんでした。勿論昔から相続の財産争いや権力争いもありましたが、しかし最近の相続争いは財産が多いとか権力があるとかではなく、たいした財産もない(失礼)多くの一般の家庭が当然のごとく相続争いをしているのです。
そしてそれを相続する側の親も兄弟喧嘩はするものだと思っている所に問題の根深さがあります。
昔の相続は権力争いや江戸時代であればお家存続を賭けたものであり、相続争いが歴史を動かし歴史を変える大きなものでした。つまり跡目争いで社会や国家が大きく揺れ戦争にまで発展することも少なくなかったのです。
相続争いを研究してみると単なるバブルなどの時代があったというのでは無く、何か大きな原因があるように思えます。太平洋戦争の前までは旧民法であり家督相続でありました。それが戦争で負けて民法も変わりました。
民主主義を中心に基本的人権や男女平等など大きく変化しました。
そして家制度がなくなりました。現代的な女性から見ると、昔の家制度は、家のため親のため夫のために全てを犠牲にして忍従の生活に耐えるという封建制度の助成というイメージがあるものです。それを戦後の新憲法に合わせて家制度からの開放を主目的とした民法・相続法の改正が行われたのでした。
そんな社会変化が戦後しっかりと国民の考え方を変えていったのです。
そして相続をお金中心、遺産分割中心にしたから、兄弟喧嘩が増えてきたのだと思います。
要するに欲望を中心に教えているから人間が争いとなっていくのです。