「こころの朝」木村耕一 1万年堂出版からの引用です。
「三頭のウシを食べたライオン」 人生にこんな場面ありませんか
「イソップ物語」は、子供向けに作られた話ではありません。本当は、大人へ向けた、生き方のアドバイスだったのです。イソップは、二千五百年ほど前の人で、ギリシャの奴隷であったといわれています。弱い立場にあった彼は、動物を利用した例え話を作って、メッセージを発信していたのです。
三頭のウシが、いつも並んで草を食べています。
ライオンが、このウシを襲おうとしました。
しかし、百獣の王であっても、
ウシが団結して向かってきたら 逃げるしかありません。
ライオンは、考えました。
「これは、力では勝ちめがないな。つまり、あいつらを、バラバラにすればいいんだ。
何かいい方法はないだろうか……」
次の日から、ライオンは、草の陰に隠れて、
ウシが仲間から離れるチャンスを待っていました。
そして、一頭に近づいて、
「君のことを、彼らはバカにしていたよ」と、ささやいたのです。
次の日、ライオンは、別のウシのそばへ行って、
「君の悪ロを聞いたぞ」と教えました。
最後の一頭にも、「彼らは、君の文句ばかり言っている」と告げたのです。
ウシたちは、最初は、「ふん! そんなことはないさ」と聞き流していました。
、
ところが、ちょっとしたことでぶつかった時に、
「ライオンが言っていたことは、本当かもしれないな」
という思いがわいてきました。
一度、疑いが出てくると、
「どうも、おかしい」「いつもと、違うな」
と、何でも悪いほうへ、悪いほうへと
拡大解釈するようになってしまいます。
やがて、ケンカが始まり、
三頭のウシの心は、完全にバラバラになりました。
「おまえの近くになんか、いたくないさ」と言って、
わざと距離を置いて草を食べるようになったのです。
ライオンは、忍耐強く、この時を待っていました。
悠々と一頭のウシに襲いかかります。
かみついて、引きずっていっても、残りの二頭は、
仲間を助けようともしません。
悲しいことに、団結を失うと、やがて自分の命が
危なくなることに、誰も気づかなかったのです。
やがて二頭めが殺され、三頭すべてが、
ライオンの餌食になってしまったのでした。
悪口を言う人に会ったら、このライオンのような、恐ろしい人だと思って、
遠ざかったほうがいいのです。
自分の悪口が聞こえてきても、気にしないようにしましょう。
真に受けて、友人や仲間を疑い始めると、人間関係が壊れ
てしまい、すべてがダメになってしまうのです。