右の講演会で話したかったこと。(その3)
◆遺言書の書き方・・・
いつからか「財産を分けるのが遺言書」になってしまったのか。遺産を誰に何を相続させるかだけを遺言書に書くと、親父の生き方、子供に対する心や、先祖を護るとかの思いが伝わらない。
財産の分割のみでなく、これからの生き方や先祖を護れとかの親父の思いを書いてみて下さい。
・財産分割よりも、家を護れと言うことを書くこと。
・葬式や年忌はきちんとするように書くこと。・お墓も大事にするように書くこと。
・長男が家を護るのが当然、だから均等分割でなく家を護る人優先と書くこと。
・両親別々に遺言書を書き、原則として配偶者は最大限受け取ること。
・財産を分けて自分が不幸になる事は無い、自分の財産は自分で分割決定すること。
・年取ると執着が増えたり、認知症になったりする人もいる、早めに遺言書を書くこと
・遺言書は何度でも書く、何度も書くたびに色々考えが深くなる。
・妻や子供、そして長男の嫁に感謝の言葉を書く、心に残ることを書くこと。
・家を継ぐ長男の嫁には特に配慮すること。相続権がないから遺言書で書くしか出来ない。
・長男の嫁をしっかり褒め称えないと、夫が亡くなってからの妻の居心地が悪くなる。
・死後最後に残ったのが恨みでは悲しい、遺された人が親父は本当は良い人だったと思われるように書く。嘘でも良いから(笑)
・財産分割だけの遺言書は、家系を滅ぼすと考える事。
・忘れずにへそくりの隠してある場所も書く事・・・以前仏壇の上の天井裏に現金1億円があった。
簡単に思いつくまま書きましたが、もっと色々あると思います。
平和時の遺言とは違いますが、何を伝えたかったかを想像できます。
◆陸軍少佐 海野馬一命 歩兵第五十四聯隊 昭和二十三年四月三日の遺言
愛児へ
児等よ嘆ずること勿れ。父の死は決して汝等を不幸にはしない。
汝等は父の死によって何でもよいから一つの教訓を得よ。
他の人の得ることの出来ぬ教訓を得よ。そして立派な人間となれ。
汝等よ。汝等の母は日本一の母なることを汝等に告げる自身あり。
母の言をよく守れ。母の言は即ち父の言だ。
和幸君瑞子様誠子様仲よくよき母の許にてよく勉強して立派な人となれ。
人間は何も高位高官の人となる義務はない。国家のため人にためになる人になるのが人間の義務だ。
和幸君よ父は汝に将来如何なる職業に進めと云ふ権能はない。
又汝の性格も判らぬから申さぬ。然し弱きを助けるのが男だ。
父は軍隊生活中この気概を持してやって来た。(中略)
「弱きを助ける人となれ」これが父の言葉だ。汝未だ五才と雖も父の言を忘るる勿れ。
瑞子様はお姉さまだから父の心がよく判るであらふ。
和幸や誠子が成長するに従ひ父の心を傳へて下さい。(後略)
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