相続担当スタッフブログ

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2013.08.26更新

遺言書が無かった為に、失敗した相続の事例。

 山田次郎さんは、妻花子さんと2人で小さな自動車部品製作の下請けをやって生活を行ってきました。やっと自宅のローンを払い終え、これから老後の蓄えを築いていこうとしていた矢先に次郎さんが交通事故でお亡くなりになりました。悲しみに暮れながらもやっと葬儀を終え、いざ自宅の名義の変更や預貯金の名義の変更をしようとしたとき、大変な問題にぶつかりました。
 山田さん夫婦には、子どもがいませんでした。次郎さんの兄弟は3人兄弟で太郎さんは次男でした。ご両親はすでに他界しており長男が家を継いでおりました。三男の弟さんは20代にお父さんと喧嘩をして家を出て行ってしまい、それからはまったく付き合いがありませんでした。
 次郎さんはまだ50代で若かったため、ご自分が亡くなるなんて思ってもいません。当然遺言書なんて夫婦二人とも考えてもいませんでした。しかし、いざ相続が発生しますと、相続の手続きに遺言書がないと兄弟全員の遺産分割協議書の署名か相続放棄の手続きをしないと、次郎さんの名義が花子さんの名義に変わらないことがわかりました。
 お兄さんは、次郎さん夫婦が苦労して家を持ったことを知っていますので、すんなり相続放棄をしてくれました。ところが三男の弟さんはすでに他界しておりお子さんがいました。手紙で相続放棄の依頼をお願いしたところ、突然弁護士から連絡が入り、「これからは弁護士の私が弟さんの子の代理人になりましたので、すべて私に連絡下さい。」と、その上「相続放棄しない」と言われました。
 自分たちの財産は、夫婦二人で築いてきたものです。なんで関係のない甥に財産を渡さなければいけないのでしょうか。奥さんは財産の一部を泣く泣く渡しました。

 このようなことは、意外とあるのです。特に兄弟に親戚付き合いがない場合や、兄弟の当事者が亡くなり子の代になっているような場合は、関係なくても財産がもらえるなら、もらおうという人が増えています。

 普段の親戚付き合いを大切にすることは必要ですが、一番良い方法は遺言書を作ることです。今回の場合兄弟には遺留分がありませんので、遺言書があれば何の問題もなく名義を書換えることが出来ました。
 
 お子さんがいないご夫婦や、結婚をしてない方で財産がある方は、ぜひとも遺言書を作っておきましょう。若いからまだ大丈夫と言うことはないのです。

松井 稔幸

投稿者: 税理士法人あけぼの

2013.08.22更新

有利になった小規模宅地の評価減!!

○税制改正で有利になりました
平成25年の税制改正により、相続税の課税対象者が約4%から6%程になるといわれています。しかし、この数値は全国平均。3大都市圏はもっと割合が高くなります。特に大きな改正は基礎控除の引き下げによる相続税の増税です。反面、小規模宅地の拡大による減税も織り込まれています。この「小規模宅地の評価減」とは、相続人の必要最低限の宅地や事業用の土地については、相続税評価を最大80%減とするものです。東京のど真ん中に先祖代々から住んでいる人が、相続が起きた時に、その土地を売らないと相続税が払えない!!といった事態を考えれば、その創設趣旨がわかると思います。
 そこで、今回は減税となる小規模宅地の特例についての改正について書きたいと思います。

○適用対象面積の拡大
(1)居住用宅地の特例の限度面積の拡大
 現行の240㎡から330㎡に拡大されます。
(2)居住用宅地と事業用宅地の完全併用が認められます。 
居住用宅地と事業用宅地の両方について小規模宅地の特例の適用を受ける場合、従来は一定の計算により両方で400㎡までしか適用が認められませんでしたが、これからは、居住用宅地の限度面積330㎡と事業用宅地の限度面積400㎡を合わせた730㎡まで特例が認められます。これは、店舗を持って事業を営んでいる方にとっては、非常に大きな改正です!

○居住用宅地の特例の適用要件の緩和
(1)老人ホームに入所していて空き家となった自宅敷地に係る小規模宅地の特例の扱いがかわりました。これまでは、老人ホームに入所したことは、一般的には、それに伴い被相続人の生活の拠点も移転したものと考えられるため、被相続人の居住の用に供されなくなった宅地については、小規模宅地の適用は無かったのですが、その要件が緩和されました。
(2)二世帯住宅の敷地についての取扱いが変わりました。
 最近は二世帯住宅といっても、プライバシーの観点から居住スペースが完全に分離され、お互いに行き来ができない構造の二世帯住宅が増えています。従来はこういった構造である場合、「被相続人と同居していた」とは認められませんでした。しかし今回の改正でこのような二世帯住宅でも居住用の小規模宅地の特例が認められるようになりました。

松本 浩康

投稿者: 税理士法人あけぼの

2013.08.02更新

今、遺言書を書く方が急増しています。公正証書で作成された遺言書の数は昭和49年には7,767件ですが、平成20年には76,436件と10倍にも増えています。
 この原因としては、相続の争いが増えていることが考えられます。わたしが担当した相続税の申告でも何件かの人が遺言書を作成していましたし、関与先の社長さんからも遺言書を作成したいと依頼を受け作成のお手伝いを致しました。
 その中のあるお客様の例をお話し致します。

遺言書が無効だった!! 
 この方は娘さんと生前よりもめていました。その為死後相続でもめないようにと遺言書を作成していました。死後、長男の方が申告の相談にこられ遺言書で相続の手続きを始めました。自筆証書遺言でしたので、すぐ家庭裁判所に検認の手続きをとりました。検認(注1)が終了し司法書士先生に遺言書を渡し遺産の名義変更をお願いいたしました。数日後司法書士先生より電話があり、「遺言書が無効で登記できません。」と連絡が入りました。原因を聞いたところ遺言書作成日が平成○○年○月吉日になっていたためとわかりました。もうそれからが大変でした。やはり妹さんともめて結局弁護士先生にお願いして話をまとめてもらいました。
 このようにせっかく遺言書を作成しても、その遺言書が無効になっては意味がありません。

自筆証書遺言を作成する上で注意する点

 ①全文自筆で書きます。
 ②相続人の名前は絶対に書き間違えない。
 ③財産の内容も正確に記入する(不動産の住所・株式の銘柄等)。
  ④財産の書き漏れがあると、分轄協議書が必要になります。
    そのため、「その他遺言者に属する一切の財産は、○○に相続させる」の文章は必 ず入れます。
 ⑤必ず日付(平成○○年○月○日)を記入します。上記の例のような吉日はだめです。
 ⑥遺言の執行者を定めておいた方が、執行がスムーズに進みます。
 ⑦自筆で署名・押印します。(実印で押印した方が確実です)
 ⑧封筒に入れて、押印した印で封印します。
 ⑨封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人の立ち会いの下で開封しますので、遺族 が遺言書を見つけたときに勝手に開封しないよう、封筒には「開封せず家庭裁判所に 持って行くこと」と書いておきます。
 ⑩書いた遺言書が亡くなった後に発見されなければ何の意味もありませんから、必ず 誰かに遺言書を作成したことと保管場所を伝えておいて下さい。

  ほかにも注意点はあると思います。せっかく作成した遺言書が無効にならないようにするためには、出来れば公正証書遺言をおすすめ致します。
 最後に、遺言書には財産の分け方だけを書くのではなく、遺言者の最終意思表示、残された家族への思い等を付言事項として必ず書いて下さい。

(注1)検認とは,相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。

松井 稔幸

投稿者: 税理士法人あけぼの

2013.08.01更新

生命保険金は相続財産ではありません。相続財産とは被相続人の死亡時の所有財産をいいます。相続財産は被相続人の死亡により相続人に移転します。一方、生命保険金は保険会社と契約者との契約(被相続人の死亡)の履行により、保険金受取人に対して保険金が支払われます。よって相続財産ではないのです。しかし、その内容が相続と類似しているため、相続税法では、「みなし財産」として、相続税の課税価格に含めて計算します。
しかし、最低必要な部分については課税しないという趣旨から、生命保険金については、法定相続人の数につき、1人当たり500万円が非課税となる制度があります。
例えば、お父さんが死亡し、相続人として妻と子供が2人いた場合に、生命保険金5000万円を受け取った時は、500万円×3人=1500万円が非課税となりますので、5000-1500=3500万円に対して相続税が課税されることとなります。

では、1500万円以上の保険金を掛けて、相続税が課税されてしまうなら、死亡保険金が1500万円の保険に加入すれば良いでしょうか?

答えは「いいえ」です!

相続財産のうち現金預金の割合は少ないです

平成21年度の国税庁の資料によると、相続税を申告した人の財産の平均金額は約2億円。そしてその内訳は、土地が約50%、現金預金は20%、有価証券12.5%となっています。つまり、平均でみると2億円の課税価格に対して4000万円の現金をもっていることになります。そして2億円の課税価格に対する相続税は上記の例で考えると、相続人全員で950万円、もし配偶者がいない場合には相続人全員で2500万円となります。

4000万円の現金に対して、2500万円の相続税を現金で支払ったら、残りは1500万円になってしまいます。これを3人の相続人で分けたら・・・。
全体で2億円という財産に対して、税金を支払った後には、手持ち現金がいかに少なくなってしまうかお分かり頂けると思います。
土地や家屋と違い、現金は自由に分割することができる財産です。生命保険は遺産分割の場面においては非常に優秀かつ有能な財産であります。
この様な場合に、生命保険金があれば、保険金受取人から代償分割という方法で、他の相続人に現金を渡すことも可能です。
生命保険も様々な種類がありますが、上記のように活用するのであれば、終身保険が有効な保険商品となります。もっとも、生命保険は健康でなければ加入することはできませんので、健康なうちに遺産分割のプランニングをして加入することも大切なポイントです。

 松本浩康

投稿者: 税理士法人あけぼの

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