取得の時とは被相続人が亡くなった時となります。では、被相続人が亡くなってしまってからでは、相続財産は安くすることはできないでしょうか?
いやいや!あきらめるのはまだ早い!相続税の財産評価通達をみますと、相続人の遺産分割の方法により、評価額が変わるものもあるのです!
代表的な例が土地です。遺産分割のために土地を分筆する場合、その土地は分筆前の土地全体の評価額によるのではなく、分筆後の各土地の評価額の合計によりますので、全体としての評価額が変わることとなります。
この場合、気を付けなければならないのは、分割の方法によっては、評価額が高くなる場合もあります。また、その遺産分割が著しく不合理とみなされるような場合、全体を一つ土地としてその価額を計算した上で、分割後の面積で按分します。つまり、分割前の相続開始の時の状態での評価となります。
相続対策により、土地の分割を検討する場合には、これらの分筆後の形状による評価であることを十分考慮して行うことが重要になります。くれぐれも「評価が安くなるように分ける」といった発想をしないように!遺産分割の基本は、各相続人に適した分割です!
※ 不合理分割の例
このように分筆した場合、B地は無道路地となり相続税評価は大幅に安くなり、A地は帯状地となり、これも評価額は安くなります。このような分割は相続税の負担軽減を狙ったものとみなされてしまいます。
B土地 |
A土地 |
~ 道 路 ~
このように分筆した場合、B地は無道路地となり相続税評価は大幅に安くなり、A地は帯状地となり、これも評価額は安くなります。このような分割は相続税の負担軽減を狙ったものとみなされてしまいます。
松本 浩康