前回、「空き家」を売却した時の3000万円控除の特例の注意点を、お話ししました。今回は、そもそも「空き家」になった場合の問題点を考えてみました。
1.維持するには、お金がかかる
相続で取得した家に誰も住まなくなった「空き家」は、どうなるでしょうか。街のいたるところに、見るからに誰も住んでいないような住宅が点在します。そして中には、ゴミ屋敷のようになっている場合もあります。家は人が住んでいるからこそ維持されますが、人が住まなくなると、あっという間に劣化していきます。ゴミがゴミを呼ぶようなこともあります。また、犯罪の温床になったりもします。そのため、誰も住まなくなっても、その維持管理をしなければなりません。遠くに住んでいると管理する為に戻る、交通費がかかります。管理会社に委託すれば、委託料がかかります。
2.役所による解体費用
お金がかかるからと言って、そのまま放置し草ボウボウにしておくと、役所から「空き家対策特別措置法」により、行政代執行によろ強制的な解体が行われ、その費用の支払いがやってきます。
*行政代執行までの流れ
①放置することで安全上・衛生上・景観上等に問題がある空き屋に対し、改善が必要な「特定空家等」に認定します。
②空き家の所有者に、助言・指導・勧告等行い、従わない場合は改善命令を出します。
③改善命令にも従わない場合に、行政代執行による解体が行われます。
④代執行にようした費用の徴収が行われます。
3.固定資産税が5倍になる
通常住宅が建っている土地の固定資産税は、小規模住宅用地(住宅1戸あたり200㎡以下)の特例で、更地の1/6に軽減されています。都市計画税は1/3に軽減されています。しかし、役所から「特定空き家」に認定され勧告をうけると、これらの軽減が受けられなくなります。解体して更地になった場合も同じです。
例 固定資産税評価額 3,000万円の土地(200㎡)
①住宅が建っている場合 固定資産税 7万円 都市計画税 3万円 計10万円
②住宅が建っていない場合 固定資産税 42万円 都市計画税 9万円 計51万円
「空き家」に認定されると、合計で10万円と51万円になり、5倍の差がでます。
「空き家」にしておくと、大変多くの出費があることがわかりました。従って、相続が発生する前から、これらの家をどうするか家族でしっかり話し合っておく必要があります。
(次回、「空き家」対策について考えます。)
松井 稔幸