「縄伸び」と言う言葉を知っていますか。私たち相続税の土地評価をしていると、よく使われる言葉です。
意味は、土地の実際の面積が、土地の登記簿に記載されている面積より広いことを言います。
言葉の由来は、昔お米で税金を納めていた頃、税金の額は田んぼも面積で決められました。従って農家は税金を少なくするため、農地の面積を測る検地の時に使う縄の目盛りを長めに打って面積を少なくしていました。これが縄伸びの状態です。その時に作った土地台帳が今に引き継がれているため、「縄伸び」の状態も引き継がれたようです。そして現在実際の土地の面積が、登記簿の面積より広い場合が多いのです。山林や農地・古くから引き継いでいる土地などに多く見受けられます。
また、平成16年の不動産登記法が改正される以前は、土地を分筆する場合は、分筆する土地だけを測量して元の土地の面積から引いて残りの土地の面積としていました。(残地求積と言います)
例えば
分筆する前の土地 豊橋市曙町宮前10番 800㎡(実際は1,000㎡)
2つに分筆 分筆した土地 10番2 500㎡
元の残地 10番1 300㎡ (実際は 500㎡)
こうして分筆を何回か行うと、その土地の不足分はすべて一番元の土地に集約されることになります。私の関与先の社長さんの土地も、登記簿上は30㎡の土地の上に82㎡の自宅が建っていると言う不思議な状態になっている場合もありました。
この「縄伸び」した土地を相続した場合、この土地の相続税評価をどうするのでしょうか?
相続税の土地の評価は、登記簿の面積ではなく実際の面積で評価することになります。相続税の申告の依頼を受けますと、私たちは必ず現地に行って土地を測量(私たちがメジャーで測ります)をします。それで計算した面積と、登記簿の面積が大きく違っている場合は、測量士に依頼して測量してもらうか、私たちの簡易測量で実際の面積を計算して、実際の面積で申告します。
税務署も「縄伸び」に注意してますので、登記簿の面積が正しいと思わず、相続税を申告する際は、実際の面積を必ず確認して申告しましょう。
松井 稔幸