2014.07.25更新
◆贈与税の計算期間
贈与税は受贈者(=贈与を受けた人)が、
その年の1月1日~12月31日までの1年間に、贈与された財産に課税されます。
贈与者(=贈与した人)の人数には関係なく、あくまで受贈者自身が1年間に総額いくら贈与され たかによって、税額が決定されます。・・・一人からいくら贈与されたかではなくて、自分一人が みんなから総額いくら贈与されたかです。
◆贈与税の計算方式
贈与税には、暦年課税と相続時精算課税の2つの方法があります。
■暦年課税贈与税
毎年(1月1日~12月31日迄の期間)110万円以下の取得なら税金はかかりません。
1年間(1月1日から12月31日まで)に贈与により取得した財産の価額が110万円を超える場合には、贈与税の申告と納税が必要になります。
■相続時精算課税贈与税
父または母からの贈与で通算2500万円以下の取得なら税金はかかりません。
○選択できる条件
贈与者・・・・65歳以上の親
受贈者・・・・20歳以上の子(推定相続人、子が亡くなっている場合はその孫を含む)
○計算の仕組み
贈与を受けたときに、贈与財産に対する低率の贈与税を払い、贈与者が亡くなった場合に、相続財産にその贈与財産(贈与時の価格)を加えて相続税額を計算し、既に支払った相続税額を控除する方式。
○相続時精算課税方式の活用方法の例
相続時に贈与分を加算して再計算するので、相続の時点で財産や世の中がどうなっているか予想がつかない現代は、相続財産が多い方はあまりお勧めできません。
今大きなお金(2500万円以下)を贈与して貰いたいが、贈与税は払いたくない。相続時にも相続税はゼロかあまり出ない場合には、贈与時に課税されないし、相続時加算してもたいした金額でない場合には、利用価値があります。その他場面に応じての使い方はありますので、ご相談下さい。
投稿者: 税理士法人あけぼの
2014.07.15更新
◆税務上では贈与として認められないのか?
前回、孫が「贈与して貰った」という認識があるかないかの話をしました。
ただお婆ちゃんが「将来孫に渡すために貯金をしていた」、これでは孫が知らないから贈与ではないことは明かですね。
では 孫にお婆ちゃんが、
「花子ちゃんのためにお婆ちゃんは毎月貯金をしてるから、きちんと花子名義にしているから大人になったら渡すからね」と言い、花子ちゃんは「ありがとうお婆ちゃん」と言った。
この場合 贈与として認められるでしょうか。
○預金名義だけでは、贈与ではありません。
大人になったらと言うことは勿論今贈与していないと言うことですが、もう一つ考えて欲しいことがあります。
花子ちゃんが「ありがとう」と言っても、現実のその預金の所有権は誰なのでしようか。
貰ったものは、本来貰った人、贈与を受けた人の自由になるものです。
その預金の通帳や印鑑は花子ちゃんが持っていて、自由に引き出して使うことが出来るのでしようか。
この様な場合は預金通帳も、印鑑もお婆ちゃんが持って管理をしています。
従って、花子さんの自由にならないとすれば、贈与があり、所有権が花子ちゃんに移ったとは云えないのです。
従って贈与でなく、名義を借りて預金を作ったと云う事になります。
だから相続財産の中に含めて相続税の申告と遺産分割が必要となります。
○現実問題としてその預金はどうするのか。
相続人から考えれば、お婆ちゃんの意志を大事にしたいと思いますね。
だったら その預金は花子ちゃんにあげるべきだと思いますが、贈与されていなければ、孫である花子ちゃんには相続権はありません。
相続人の全員の協議で花子ちゃんの親に相続してその後花子ちゃんに正式に贈与する方法。
また、基礎控除以下で相続税の申告が不要、相続税が掛からないとすれば、あとは相続人全員で協議をすれば良いと思います。花子ちゃんが貰っていたことを全員で確認すれば、相続税は掛からないし、名義をそのままにして実際に花子ちゃんが貰うことも可能だと思います。
○預金名義だけを変えるような贈与は気をつけて下さい。
毎年110万円の定期預金を作って10年後に、1100万円をまとめて渡したとします。
毎年110万円で税金が掛からないからと言っても、その贈与が正式でない場合、例えば通帳と印鑑を渡してなかったら、贈与ではないのです。
1100万円を一度に贈与したと認定されたら、271万円の贈与税が掛かります。
是非名義を変えるだけの贈与は慎重に行って下さい。
◆111万円を贈与し、申告して1000円の贈与税を払うことで証拠作りが出来ます。
投稿者: 税理士法人あけぼの
2014.07.05更新
★母の遺品を整理してたら、孫名義の預金通帳が出てきた・・・どうしよう?
よく有る話です。お婆ちゃんが大事な孫のために一生懸命貯金をする。そして孫が高校入学や大学入学の時に、「はい お婆ちゃんからですよ」と言ってまとまったお金を渡す。
今回のお婆ちゃんは何年か一生懸命貯めて孫が喜ぶ顔を見たかったのに、残念ながら喜ぶ顔を見られずに浄土へ旅立ってしまったのです。
そして息子が遺品を整理していたら出てきたのです。孫名義の普通預金の通帳と印鑑が。
本当はお婆ちゃんの手から、孫へと渡したかったのに残念ながら、息子が受け取ってしまった。
★この遺産である孫名義の普通預金はどうすれば良いのでしようか。
○贈与になるのか、贈与ではないのか、お婆ちゃんが孫名義の預金を作っただけなのか。
税務調査の場合には、贈与の事実があるかどうかが問題になります。
この場合には贈与は認められず、相続財産に加算され、相続税の対象になります。
○なんで贈与として認められないのか?
お婆ちゃんが孫名義の預金を作った時点で贈与なのではないのか。?
「贈与」とは民法上はお互いの契約なのです。
一般的には「ただでものをあげること」を贈与と言っていますが、法律的には「ただであげます」とお婆ちゃんが言い、お孫さんが「お婆ちゃんありがとう」と言って始めて贈与が成立するのです。
従って、どちらかが知らないといったことはあり得ません。
今回の場合には、お婆ちゃんも「ただであげる」と言っていないし、お孫さんも「戴きます、ありがとう」と言っていないので、贈与は成立していないのです。
○相続税の税務調査で次のようなことがあります。
相続税の調査で、子供名義で毎年110万円の定期預金が作られていたのが発見されました。
税務調査官 「あなたはお父さんから毎年100万円贈与を受けていたのですか?」
相続人の子供 「いいえ、そんな話は聞いていませんでした」
これでは贈与契約は成立していないわけであり、その預金の名義は「相続人・子供」であっても、贈与してないのだから「被相続人、亡くなった人」のものとなります。
ですから、他の相続財産に含めて相続税の申告しなければならないことになります。
○銀行預金の贈与で気をつけないといけないこと
一般的に1年間で110万円までは贈与税が掛からないから、子供名義で預金を作ることがあります。銀行員も税務関係者も簡単に言っていますが、これは本当に贈与として成立しているのでしょうか。上記のように贈与は契約であると言うことを知れば、名義だけ変えても贈与にならないと言うことが分かりますね。
毎年110万円を名義変更をして贈与のつもりになっていればあとで大変な事になります。
ご注意下さい。どうすれば良いかは次回に声明します。
投稿者: 税理士法人あけぼの