相続対策の根本が変わりつつあります。
少し前までの税務調査では、アパートの空室率は余程のことがない限り空室も貸家と認められていました。勿論何年も空室だったり、入居者募集などの努力をしない場合は貸家ではないのですが。しかし最近では数ヶ月も空室であれば、入居者募集の努力をしていても貸家と認められないケースが出てきています。
相続対策でアパート等を建築しても空室になってしまえば、相続対策の目的である貸家や貸家建付地の評価減が出来なくなり対策が根本から狂ってきます。いま日本の空き家がどれ位かご存じですか、調べたらビックリします。統計によると全国で15%~20%前後が空き家なのです。それでもどんどん相続対策のアパートが建っています。
一般的に空室でも貸家と認められるには「継続的に賃貸されてきたもので、課税時期において、一時的に賃貸されていなかったと認められる」部分とされています。
国税当局の判断は、アパート等の一部に空室がある場合の一時的な空室部分が、「継続的に賃貸されてきたもので、課税時期において、一時的に賃貸されていなかったと認められる」部分に該当するかどうかは、その部分が、
1.各独立部分が課税時期前に継続的に賃貸されてきたものかどうか、
2.賃借人の退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われたかどうか、
3.空室の期間、他の用途に供されていないかどうか、
4.空室の期間が課税時期の前後の例えば1ケ月程度であるなど一時的な期間であったかどうか、
5.課税時期後の賃貸が一時的なものではないかどうかなどの事実関係から総合的に判断します。
「空室の期間が1ヶ月程度」では現在の募集の空室率を考えれば無理があります。簡単に入居者が見つからないのが現状なのです。1ヶ月程度では空室が埋まらないのが普通です。1ヶ月程度しか貸家として認められなければ、アパート建築の相続対策を根本から考えないと大変な事になります。