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2014.03.20更新

先日、私のお客様のお母様が亡くなりました。お父様はすでに亡くなっており、その時に兄弟全員が納得する相続が行われて、今回の相続は全てご長男が引き継ぐことになっていました。分轄協議書を作成して全員にサインをもらうのも面倒と言うことで、他の兄弟全員に相続放棄の手続きをしてもらうよう進めていました。でも時間がないし、何かほかに方法がないか考えてみました。そうだ、相続放棄より特別受益のほうが簡単で手間がかからないと思いつき特別受益証明書を兄弟の皆様から頂くことにしました。

 と言うことで、今回は、遺産分割協議書を作成せず相続登記をする方法として、相続放棄と特別受益の話をします。

特別受益とは
 相続人の中に、生前財産の贈与を受けた人がいると、同じように相続財産を分けると不公平が発生します。この不公平の利益を特別受益と言います。従って、このような場合の相続財産の計算には、その特別受益を含めて計算します。

 相続人に特別受益証明書(「自分は相続分相当額の財産贈与を受けているので相続分はありません」といった相続人の意思表示を書面にしたもの)を出してもらいますと、簡単に相続登記ができます。しかし相続人であることには変わりがないので、後で借金があった場合、債権者から取立を受ける場合があります。従って、確実に借金が無い場合に限ります。

相続放棄とは
 亡くなった方の財産だけでなく借金も含めすべて相続しないことです。裁判所に相続放棄の申述書を提出し、裁判所が審理して決定されます。手間と費用がかかりますが、後で借金が見つかっても、その督促から免れることが出来ます。しかし、初めから相続人ではなかったことになるので法定相続人の相続順位が次の人になり、逆に相続が複雑になる場合もあります。(例えば配偶者と子1人の場合で子が相続放棄してしまうと次の法定相続人の親が相続人になります)

 相続放棄と特別受益、どちらもメリット、デメリットがありますので、十分検討してうまく使いましょう。
松井 稔幸
 

投稿者: 税理士法人あけぼの

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