読んだと言ってもまたほんの少しですが、相続の事が書いてありました。
72ページ「近代化の条件」からの抜粋です。
歴史のことは別としても、社会人類学的にも、注目すべきことがいくつかある。わたしは、こんどの旅行で、はじめてイスラーム諸国における社会制度の実態をみた。
とくにおもしろいとおもったのは、その相続制度である。それは、われわれの社会の伝統的制度とはまったくことなる均分相続制である。中国の社会が、均分相続制であることはまえからしっていたのだが、イスラムの場合は、こんどよくわかった。そしてインドにくると、ここもまた均分相続制なのである。
ところが、日本と西ヨーロッパは、どちらも、伝統的制度としては、長子相続制である。これは、おそらくは両者に共通な封建制の発達ということと関係があるだろう。土地をやたらに分割したのでは、封建制の基礎がくずれてしまうのである。それから、一夫多妻制についてもかんがえさせられた。イスラム諸国では、妻は四人までもってもよろしい。これは、イスラーム法で公認されている。また、インドも中国も、その点では寛容である。伝統的には、一夫多妻は公然とゆるされていた。ところが、日本では、キリスト教による禁制がなかったにもかかわらず、すくなくとも庶民のあいだではたてまえ上は、一夫多妻は是認されていないのである。「日かげもの」ということばが、それをしめしている。 引用終わり
こんな事が書かれているが、相続問題は社会の存立基盤そのものと考えられる。その存立基盤である相続が長子相続から均分相続へと代わりつつある事は、従来の日本の社会が壊れていくと言う事であります。また相続問題と一夫多妻という婚姻制度との関係もあります。
兄弟均等相続これこそが民主主義であり、均等相続が権利だという人は多くなっていますが、本当でしょうか良く考えて見ましよう。
均分相続の国は、イスラム圏や中国、そしてインドなのです。そしてそれらの国は一夫多妻制なのです。またこれらの国はこの本が書かれた当時1974年では発展途上国なのです。と言う事は、これだけを単純に考えれば日本は発展途上国を目指していると言う事になります。封建制度が良いとは思いませんが、このままの相続制度では日本が落ちていくと思います。既に日本の経済力や貧困率、教育度等どんどん世界の中の地位が落ちています。
みえないところで相続の仕組みが影響を及ぼしているのです。