以前から言っているように相続対策は大きなリスクを伴います。目先は多額の節税になって良かったと思っていても、「親死に、子死に、孫死に」の常識的な順番でなくて大事な長男が親より先に死んでしまうこともあるのです。
また節税対策は当局といたちごっこなのです。税法の不備なところを見つけそこを狙って節税対策をする事は良くあることです。しかし多くの人が実際にその対策を行う事で国は課税上弊害や不公平を生ずるとして税法改正をします。そしてその節税対策は効果がなくなってしまいます。
今回の事業承継税制の改正は、節税対策を封じるのではなく、国が推奨するものです。
この制度が出来たことにより、銀行や相続専門の税理士などから勧められていたオーナー経営者の株式を相続人である後継者に譲渡する節税対策が、意味が無くなってしまいました。
今までは銀行が後継者に何億円という多額の融資をし、その資金で株式を親から買い取りました。オーナー経営者は株式の譲渡所得税は出るけれど、相続税よりは安いと言うことで勧めていました。
私の事務所の顧問先にも銀行と相続税専門の大手税理士事務所から勧められていました。
しかし私は過度な節税対策はリスクが大きいと全て断っていました。今回の贈与・相続税免除の税法改正が出来たので、やはり過度な節税対策はしない方がよかったと言うことになります。
やってしまった多額の融資の返済は一体どうするのでしようか、他人事ですが心配になります。